OPEN

  • twitter
  • facebook

CLOSE

大会2日目レポート

大会2日目レポート

山下美夢有が通算9アンダーで、2位以下に2打差をつけて単独首位!

山下美夢有選手

大会2日目、穏やかな前日とは一変し、強くなった風の影響で、各選手のスコアは伸び悩んだ。初日は53名がマークしたアンダーパーが、この日は15名に激減。いつもの葛城ゴルフ倶楽部らしい試合展開になりつつある。

そんな中、首位タイスタートの山下美夢有が、4バーディー・1ボギーの69とスコアを3つ伸ばし通算9アンダー。2位以下に2打差をつけて首位の座を単独でキープし、ツアー初優勝へ向けて大きく前進した。

鶴岡果恋選手

山下と同じく首位タイスタートの高橋彩華は、スコアを一つしか伸ばせず、通算7アンダーの単独2位。通算6アンダーの3位タイに、ともにスコアを3つ伸ばした鶴岡果恋と渡邉彩香が、前日の11位タイから浮上。

初日首位タイスタートの小祝さくらは、最終18番でまさかのトリプルボギーを叩き、通算4アンダーの7位タイに後退した。通算3オーバーの56位タイ、61名の選手が予選を通過。前回覇者の成田美寿々や有村智恵、永井花奈、福田真未らが、1打及ばず決勝ラウンドへ駒を進めなかった。

山下美夢有、目標のツアー初優勝へ向け、自己投資が実を結ぶか?

青空が広がった第2ラウンド。難攻不落の大会舞台・葛城ゴルフ倶楽部がついに“牙”をむいた。毎秒5.6メートルの風が吹き、午前スタート組がティーオフする前からピンフラッグは、はためいていた。コースに吹き付ける風は芝を乾燥させ、グリーンを硬く引き締めて行く。グリーン上に落下したボールは、金属音のような高い音を奏でて跳ね上がる。スピンを効かせたショットのボールでも、まるでコンクリートの上に落としたかのようにコロコロと転がり、止まらずにグリーンをこぼれ落ちる。前日の第1ラウンドとは打って変わって、コース難易度は一気に高まった。

午前7時からアウトコース、同7時5分からインコースの1組目がティーオフ。計20組、58選手がスタートしてアンダーパースコアをマークしたのは、わずか6選手だけだった。

山下美夢有選手

午前組のベストスコアは3アンダーの69。そんな好スコアをマークしたのは、通算6アンダー・首位タイからスタートした山下美夢有だった。

午前8時15分、インコース17組目で発進した山下は、12番パー4ホールでピンチを迎える。フォローの風ながらアプローチショットを寄せ切れず、1.5メートルのパーパットを残してしまったのだ。入れごろ外しごろの距離のパットをねじ込んで耐えた。14番パー4ホールで再びピンチが待ち受けていた。3打目のアプローチを寄せ切れず1メートル強のパーパットを強いられたのだ。このパットを外したなら、プレーの流れが悪くなる。それとは逆に、入れたなら良い流れを引き込めるかも知れない。

腹を据えて打った。ボールはカップに沈んだ。渾身のパーセーブ。迎えた15番パー5ホール。「パー5ホールで着実にスコアを伸ばす」ゲームプランを立てていた山下は、3メートルのバーディーパットをしっかり決め、予定どおりにスコアを一つ伸ばすことに成功した。「思いどおりにバーディーが取れたのは大きかった」と山下は振り返る。

勢いを着けるバーディー奪取に気を良くし、続く16番パー4では2打目をピンそば50センチに着けて連続バーディーとしたのだった。18番パー5でも、さらにスコアを伸ばすはずだったが、大誤算――。ピンまで残り83ヤードの3打目で風の読みを誤ってしまったのだ。

「アゲンストだと思って打ったらピンをキャリーでオーバーしてしまいました。左からの風が正解でした」。12メートルのバーディーパットは、終わってみれば3パットのボギー。

しかし、山下には勢いがまだまだ残っていた。ハーフターンしてのアウト1番パー4で3.5メートルのパットをねじ込んでバウンスバックに成功。通算8アンダーとし、5番パー5ホールではゲームプランどおりにバーディー奪取。難しいコースコンディション下で通算9アンダーにまでスコアを伸ばした。

「昨日とは違って風が強く、クラブ選択が難しかったです。アプローチとパットに助けられ、パーを積み上げられました。14番ホールでのパーセーブが大きかったと思います」と山下。最終ホールでもパーオンし、12メートルのバーディーチャンスを作りあげた。

「もう一つスコアを伸ばしたいのと、2パットで収めないと、という気持ちがありました」。その気持ちを整理しないまま打ったパットは「パンチが入ってしまって、苦笑いするしかありませんでした」。カップを4.5メートルもオ―バーした。だが、この日のプレーを象徴するように山下は返しのパーパットを沈め、4バーディー・1ボギーの69。通算9アンダーでクラブハウスリーダーとなった。

山下美夢有選手

今年は初優勝を目標に掲げてツアーに臨んでいるが、2戦目で8位タイ、先週の4戦目では11位タイの成績を挙げている。目標達成に向け、着実に歩を進めている観がある。そのための準備は整えて来た。弾道測定器トラックマンを約300万円の大枚をはたいて購入し、5ヤード刻みの距離感に磨きを掛けている。その成果が強い風が吹いたこの日の好スコアに結びついたといっても過言ではないだろう。

体幹力のアップを目指して取り組んでいるトレーニングによって、飛距離は210ヤードから230ヤード強に伸びた。リズム良く振るスイングは安定性がより高まった。

ツアープロコーチとして、またゴルフアカデミー「エースゴルフクラブ」主宰者として活躍する石井忍プロが、インターネット中継でリポーターとして出演中だが、この日の山下のスイングを次のように話してくれた。

「出力のコントロールが安定しています。手先に頼らずに体全体でスイングしているため、スイングの強弱がなく、風の中ではもちろん、プレッシャーが掛かる場面でも安定性の高いショットが打てるのが強みですね」。

明日からの決勝ラウンド、残り36ホール。「プレッシャーを楽しむことの大切さを学んだ」という山下に、スイング的にも精神的にも死角はない。令和のシンデレラストーリーを紡ぎそうな予感が漂う。

大会2日目のコメント

高橋彩華選手

高橋彩華
2位タイ・通算7アンダー(3バーディー・2ボギー)

「風を読むのが難しく、頭を使う一日でした。ダブルボギーを打たないマネジメントで、いいイメージで打てていたので、そんなに風は怖くなかったです。(明日以降も)今日みたいな感じでゴルフができればチャンスはあります」

鶴岡果恋
3位タイ・通算6アンダー(4バーディー・1ボギー)

「今日は風が強いと知っていたので、守るホールと攻めるホールをしっかりマネジメントしたおかげで、いいスコアになりました。全ホールキャリーとランをメモして、風の影響も加味して、明日以降にも役立つようにやっていました」

渡邉彩香
3位タイ・通算6アンダー(5バーディー・2ボギー)

「今日は結構ピンチもあり、考えることも多くて大変な1日でした。(17番のチップインは)ラッキーで入ってくれて、すごくうれしかったです。2日間調子が悪い中でも頑張って、この位置にいられるので、優勝目指して地元に良い報告が出来るように頑張りたい」

小祝さくら
7位タイ・通算4アンダー(3バーディー・2ボギー・1トリプルボギー)

「(最終18番のOBは)ティーショットが右に行きました。体が止まってしまって。自分でも本当にわからないです。集中力が切れてたんじゃないかと。パットもミスして、最後はミスだらけでした。あと2日あるので、しっかり巻き戻せるように頑張りたい」

ページのトップへ戻る