大会2日目は気温11.7度で、さらに冷たい風が吹き、一日中冬のような寒さ。朝は小雨から始まり、昼過ぎには青空を見せたものの、再び雨が本降りになるなど、目まぐるしく天気の変わる一日となった。
そんな気象条件でも安定したプレーを見せたのが、初日首位発進の西郷真央とペ・ソンウ。ともにスコアを3つ伸ばし、通算8アンダーとして首位タイをキープした。
1打差の3位タイに、同じくスコアを3つ伸ばした菅沼菜々と、アマチュアの16歳、この春高校2年生となる上田澪空(うえた・みく)が、18番でイーグルを決めるなど、自己ベストの64は大会コースタイ記録となり、初日の50位タイから、スコアを8つ伸ばしてジャンプアップ、一躍優勝戦線に浮上してきた。
通算3オーバー、59位タイまでの69名が決勝ラウンドに進出。ディフェンディングチャンピオンの稲見萌寧は、この日も1バーディー・2ボギーとスコアを伸ばすことができず、通算4オーバーの70位タイで、予選を突破することはできなかった。
大会2日目の朝は、吐く息が薄っすらと白かった。咲いた桜の花びらが震えているようにさえ見えた。初日の天候は曇り、気温20.3度だったが、この日は正午時点で天候は晴れながら気温は11.7度。気温が朝からほとんど変わっていないようにさえ感じた。
試合展開も冷え込み、スコアを伸ばすよりもスコアを落としてしまう選手が続出した。難攻不落とされる葛城ゴルフ倶楽部が大会舞台だけにパーセーブに神経を削る。そんな状況下で淡々と自分のプレーに徹し、前日同様にボギーフリーのプレーで、アンダーパーフィニッシュしたのが菅沼菜々だった。3バーディー69のスコアで通算7アンダーとし、首位とは1打差の3位タイ。決勝ラウンド初日、大会3日目は最終組でスタートする。
「ショットはそつがなく、アプローチとパットが本当に上手い。安心してプレーを見ていられるんですよ」。菅沼を支える帯同プロキャディーの梅原敦は、この日の躍進ぶりを労いにやって来たキャディー仲間たちにそう話したのだった。プロキャディー歴23年、通算22勝を数えるベテランキャディーがべた褒めするのには理由がある。難攻不落のコースで大会2日間36ホールをプレーしてボギーなし。前週大会の最終日12ホール目でボギーを打って以来、計60ホールもボギーフリープレーを継続させているからだ。
「パーオンショットを外しても易しく寄せられるアプローチエリアにボールを運んでいるんです。アプローチは寄る寄らないというよりも、入る入らないの高次元。そのうえパットが上手いんです」と梅原は目を細めながら菅沼のゴルフをそう評した。
アウトコースからスタートした菅沼は、15番パー5ホールでこの日3つ目のバーディーパットを決めた。17番ホールには速報版が設置されているが、ティーショットを終えるまで菅沼はあえて順位を確認しなかったという。
「緊張しやすいタイプなので、とにかく(池絡みの)グリーンを捕らえてからにしようと考えました」。1打目を終えて速報版を見ると、自分の名前が最上段、トーナメントリーダーの位置にあった。さすがに重圧を覚えたものの、持ち前のショートゲームの巧みさで17、18番ホールをパーセーブしたのだった。
「ピンまで10ヤードの距離は入れに行きますし、20ヤードくらいなら落し所を見極めて上手く行けば(カップイン)の気持ちで臨んでいます」。菅沼のグリーン周りのテクニックは超極上。それを武器に決勝ラウンド36ホールの戦いに挑む。最強の武器は「ボギーフリーのプレー」だ。ニューヒロイン誕生の予感が葛城GCに漂い始めた。
「予報と違って風が吹かなかったり、雨が降ったり、やることが多くて大変な一日でしたけど、想定していたよりもスコアを伸ばせました。今日もピンポジションが難しく、後半は耐えどころが続いていたんですが、トータル60台で終われたので、内容的には良かったです。明日も難しいのは覚悟して、自分のプレーに集中して頑張りたいです」
「今日はイーブンパーで回れれば良いと思ってスタート。前半でひとつバーディーを取ってから、自分の流れが良くなって、いいプレーが出来ました。思ったよりもチャンスはありましたが、パターが決めきれなかった。それでも、ノーボギーでバーディーを3つ取れたので良かったと思います」
「スコアは満足していますが、ミスしたパットが入ってくれたり、採点は85点くらい。オーガスタナショナル女子アマに出たかったけど、出場できず、この試合をオーガスタだと思ってやろうと思っていました。決勝ラウンドは緊張すると思うけど、予選通過が目標だったので、楽しんで自分のプレーをしたい」
「前半、天気の影響を受けてリズムが崩れてしまいました。バックナインでは天気が良くなり、リズムを取り戻していいプレーができました。プロ転向8年目ですけど、もっとゴルフが大好きになれるように頑張りたいです」
「結構バーディーチャンスがあったんですけど、パターが上手く当たらなくて残念。でも、アンダーパーで回れたので良かったです。最後はパターなので、パターを自信を持ってしっかり打てれば。そこがポイントかなと思います」
「良いという訳ではないですけど、ショット自体は悪い訳ではないので、ジャッジが合わなくて、パーを取れないところに行ってしまったり、マネジメントがうまくいかなかったです」
(原稿・写真:伝昌夫、菅野雅裕)