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大会最終日レポート

大会最終日レポート

西郷真央、通算8アンダーで逃げ切って大会初制覇、ツアー通算3勝目!

朝から終日雨が降り続き、気温9.2度、北東の風3.1m/sと、2月並みの寒さの中行われた最終日。2位に5打差の単独首位からスタートした西郷真央が、3バーディー、5ボギー、1ダブルボギーの76でラウンドし、通算8アンダーで大会初制覇、ツアー通算3勝目を飾った。

西郷真央選手

3日目まで完璧なゴルフを展開していた西郷だったが、この日のラウンドはスコアメークに苦しんだ。前半こそ2バーディー、2ボギーのイーブンで回ったものの、10番をボギーとし、この時点で2位とは1打差に。11番でバーディーを奪い、後続もスコアを伸ばせず、再び3打のリードを持って終盤へ。

17番でボギー、18番ではティショットをOBとして、ダブルボギーフィニッシュで、前日までの貯金を吐き出す格好となったが、最終的には2位に1打差で逃げ切り勝ち。初日から首位の完全優勝は、4日間競技では、宮里藍(20歳105日)に次ぐ2番目の年少記録(20歳177日)となり、2週連続優勝達成は、史上5番目の年少記録(1位は畑岡奈紗の18歳261日)となった(ともに1988年ツアー制度施行後の記録)。

1打差の通算7アンダー、単独2位に堀琴音が入り、さらに1打差の通算6アンダー3位タイに、菅沼菜々、ペ・ソンウの二人、通算4アンダーの単独5位にアマチュアの上田澪空が入り、ベストアマチュア賞を獲得した。

西郷真央、自然体のゴルフで春の女王に!
スコアを落としたラスト2ホール、その真相は―

大会初日から首位を走り続けて来た西郷真央が、最終日につまずいた。2日目の10番ホールからボギーフリーを継続させ、3日目終了時点では2位に5打差を着けて、ブッチギリの首位に立っていた西郷が…。

最終日、スコアを一つ伸ばし、通算13アンダーで迎えた9番パー4ホール。2番パー4ホールに続く、この日二つ目のボギーを叩くと、勝負どころのサンデーバックナインの出だし、10番パー4ホールでもボギーを打ってしまう。スコア貯金を吐き出す形となった。

西郷真央選手

しかし、西郷に焦りは無かった。なぜなら続く11番パー3ホールは、自身にとってショットのイメージが出しやすく、バーディーが取れそうな好印象がある。さらにはパー5ホールがまだ2ホールあり、スコアを伸ばせるチャンスが計3ホールも残っているという思考が働いたからだった。

迎えた11番ホール。ピンまで111ヤードの距離をピッチングウェッジでデッドに狙った。好感触のインパクト。ピン方向へボールは出され、70センチのバーディーパットチャンスに着いた。確実に沈める。「自分のゴルフに全力を尽くす」プレーをその後も続けた。13番パー4ホールを3オン2パットのボギーとしたが、それは想定内であり、多少のミスは許容範囲内でしかなかった。

「朝から小雨の天気予報でしたが、大粒の雨が降り続きました。天候が良ければ爆発的なスコアを出す選手がいるだろうと思いましたが、大雨では好スコアをマークするのは難しい。考えすぎず、自分らしいプレーをしようと考えていました」。

雨天でのラウンドではレインウエアを着たり、クラブを濡らしたりしないようにと、晴天時よりもすることが多くなる。プレー以外も何かと忙しい。それが奏功した。2週連続優勝のプレッシャーを感じる時間を作らずに済んだのだ。

17番パー3ホール。ピンまで197ヤードを5番ウッドで放ち、10メートルに着けた。「バーディーを取りたい」。西郷は珍しく欲を出した。結果は3パットのボギー。最終18番パー5ホールを迎え、2位とは3打差だった。ドライバーディスタンス計測ホールだったことが、西郷のマネジメントを乱させた。「(師匠の)ジャンボ(尾崎)さんが『(ドライバーディスタンスは)何位だった』と尋ねられるので、胸を張って応えたかったんです。前週もそれを意識して結果は良くなかったのですが…」と西郷は振り返る。

西郷真央選手

降りしきる雨の中、ドライバーを強振する。それまでポジショニングを優先させ続けていたスイングとは明らかに違った。さらにはクラブフェース面の雨滴がインパクト時のスリップ現象もあってボールはホール右サイドのOBエリアへ吸い込まれて行ったのだった。5打目でグリーンに辿り着く。18番グリーン右サイドの速報版は堀琴音が通算7アンダーの2位でフィニッシュしていることを映し出していた。5メートルのボギーパット。3パットしたなら、プレーオフとなる。「最後は決めたかった」ボギーパットはカップ手前で止まった。それをタップインしてのフィニッシュ。3バーディー・4ボギー・1ダブルボギーの76。通算8アンダーで2週連続、今季5戦3勝、勝率6割、宮里藍に次ぐ20歳177日での4日間競技年少優勝記録を樹立した。

「記録はとても光栄です。自然体のゴルフを心掛けました。雨でのプレーで反省点はありますが、優勝出来て良かったです」。感情をほとんど表に出さずに西郷は優勝会見でそう答えた。「悪天候でのミスの傾向や自分のゴルフを分析し、スコアをまとめられるように、そしてこれからも全試合で優勝争いができるように頑張って行きます」。年間優勝回数をどこまで伸ばすのか。「メジャー優勝が目前の目標」にしている西郷のばく進ゴルフは止まることを知らない。

西郷真央選手

大会最終日のコメント

堀琴音選手

堀琴音
2位・通算7アンダー(1イーグル・3バーディー・1ボギー)

「トップとは差があるけど、こういう天気なので、もしかしたらと思ってスタートしました。17番(ボギー)はもったいなかったですけど、スコアだけ見たら今日のゴルフは良かったです。初日(76)が悔やまれますね、せめてイーブンだったら」

菅沼菜々選手

菅沼菜々
3位タイ・通算6アンダー(5バーディー・5ボギー)

「悔しいです。途中までいい感じだったのに、最後の方どんどん落ちていってしまって、雨のせいとかじゃなくて、自滅なので、めっちゃ悔しいです。来週はほぼ地元なので、知り合いの方もいっぱい見に来てくれるから、初優勝を狙って頑張りたい」

ペ・ソンウ選手

ペ・ソンウ
3位タイ・通算6アンダー(3バーディー・4ボギー)

「すごく寒くて、筋肉が硬直して、思った通りに体を動かすことができませんでした。まだシーズンが始まったばかりですけど、5位以内をキープしていければ、優勝はできなくても次につながると思うので、今週も3位に入れたので、自分的にはいい結果だと思っています」

上田澪空選手

上田澪空
5位タイ・通算4アンダー(4バーディー・4ボギー)

「こういう天気なので、スコアを伸ばすのが難しいと思い、パープレー狙いの、結果パープレーでした。この4日間は1カ月経ったのかというくらい長く感じました。プロの試合はこんなにも大変だとは思ってなかったので、体力をつける大事さを実感しました」

(原稿・写真:伝昌夫、菅野雅裕)

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