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大会2日目レポート

大会2日目レポート

女王復権へ、鈴木愛が連日の好プレーで単独首位に立つ

大会2日目は曇り空の下、気温15.9℃、南西の風1.2m/sと、比較的過ごしやすい天候の中、2,100人のギャラリーが選手たちのプレーを見守った。

第2ラウンドは、初日首位立った鈴木愛が、6バーディー、1ボギーとスコアを5つ伸ばし、通算10アンダーとして単独で首位をキープ。2位に3打差をつけ、独走態勢を築く構えだ。

鈴木愛選手

通算7アンダーの2位に蛭田みな美がつけ、通算6アンダーの3位タイグループに、渡邉彩香、穴井詩、山内日菜子、ささきしょうこ、石井理緒の5人が追走する展開。大会連覇を狙う西郷真央は、通算3アンダーの20位タイに後退した。

通算1オーバーの55位タイ65名の選手が予選を通過。今大会が日本での引退試合となるユン チェヨンは、通算14オーバーの118位で大会を終え、選手や関係者、多くのギャラリーに別れを告げ、コースを去った。

蛭田みな美 スイング軌道を修正し「今週は私の番!」

大会2日目。アウトコース午前スタートのトップ組で、会心のプレーを繰り広げたのは蛭田みな美だ。1番パー4ホールで1メートルほどのバーディーパットをしっかりと決める。続く2番パー4ホールでは4メートルのバーディーパットをねじ込んだ。

4番パー3ホールでパーオン逃しのボギーとしたが、5番パー5ホールで1メートルのバーディーパットをカップイン。9番パー4ホールでもバーディーを奪取し、前半9ホールで通算7アンダーにスコアを伸ばして単独首位に立った。

後半でさらにスコアを伸ばし続けるのかと思われたが、10番パー4ホールでのボギーでゲームの流れが急変する。10番パー4ホールの2打目は、運悪くディボット跡にボールが捕まっていた。ピンまで残り122ヤード。グリーン手前までしか運べない。アプローチでも寄せ切れず、1メートルのパーパットを入れ損ねてしまった。この日2つ目のボギーを喫してからは、前半とは打って変わってパーオンができなくなり、試練が続く。

蛭田みな美選手

最大のピンチは15番パー5ホールだった。3打目がグリーン手前のバンカーに捕まる。ボールの下半分が砂の中にスッポリと埋まっていた。打ち出すのが精一杯の難しい「目玉のライ」から、ピンまで3メートルの距離に寄せた。それを一発で沈めてパーセーブに成功。バーディーに匹敵する一打となった。

そのご褒美が18番パー5で待っていてくれた。3打目をガードバンカーに打ち込んだものの、ピンそば1メートルに寄せ切ってバーディーフィニッシュを決めたのだ。

先週までショットの安定性に欠けていたことから、ショット計測器を使ってその原因を探った。ダウンスイングでクラブがアウトサイドに下りていた。スイング軌道の修正に努めた。

「ストレート軌道に近づけられ、難コースでのマネジメントも上手く行き、風が吹きませんでしたし、良いラインからのバーディーパットも打てました」と蛭田。やること成すことすべてが、好スコアにつながっての5バーディー・2ボギーの69で、通算7アンダー単独2位につけた。

「予選ラウンド2日間とも60台のスコアを出せて嬉しい。4日間大会で上位での予選通過は第一関門クリアーです。明日も60台を目指して頑張りたい」と笑顔で応えた。

プロテスト同期の山内日菜子が前週ツアー初優勝したことで「自分も(初V)」の思いが強まった。「日菜子」効果だ。オフは心拍数を上げてのトレーニングを積んだ。それによって緊張した場面でもパーフォーマンスを発揮できるようになったという。食事はタンパク質の量を増やし、ラウンド中のドリンクは糖質を増やしてエネルギー補給に努めている。初Vへのパズルピースが一つずつハマり出した。あとは決勝ラウンド2日間、36ホールのプレーで「初V」パズルを完成させるだけだ。

藤本麻子 本来の攻めるゴルフで、8年前の借りを返す!

初日の1オーバー55位タイから急浮上したのは藤本麻子。ボギーフリーで、前半と後半ともに2バーディーを奪って、午前組のベストスコアタイだ。

藤本麻子選手

「もう2日間プレーできるのが本当に嬉しいです」と声を弾ませた。決勝ラウンドに進出できた喜びに加えて、自分本来のゴルフを取りも出しつつある手応えを、残り36ホールで「本物」にしたい思いもあった。

当初はハウスキャディーとのラウンドを予定していたが、プロキャディーから帯同の申し入れがあり、それを承諾したのが奏功しているという。以前からの顔見知りのプロキャディーだったことから、プレーの合間の会話は弾む。練習ラウンドのことだった。

「セーフティーなプレーをし過ぎじゃない? 練習ラウンドから逃げるゴルフをしても…」。そんな問いに藤本は目覚めた。「昔は怖いもの知らずというか、とにかくクラブをブンブン振り回して攻めていたよね」。ダメ押しのような言葉で藤本は覚醒する。「確かに…体のどこかが痛くてもかつてはマン振りしていたんですよね」と藤本は、自分らしいゴルフに気づいたのだった。

ショットを曲げないようにしたり、ボギーを叩かないようにしたりを繰り返していた自分がいた。「どうせショットが曲がるなら、思い切り振った方がいい。そう考え、実際に躊躇なく振るようにしたらショットが曲がらなくなりました。ピンもデッドに狙うようにしました。もちろん、難コースですからプレーに緩急、メリハリを着けて、です。いつもデッドに攻めることはありません」。

2015年大会で藤本は初日から3日目まで首位を独走した。しかし、最終日「76」のスコアで4位に終わり、優勝を逃した苦い経験がある。「もう8年も前なんですね。当時はただブンブン振り回しての攻撃ゴルフ一辺倒でした。でも今は違います。ホールに応じて攻める守るをしっかり判断してプレーできます。8年前の借りを返せたら最高ですね」。

自分のゴルフを完全に取り戻し、有終の美を飾れるか。決勝ラウンドの楽しみがまた一つ増えたのは確かだ。

大会2日目のコメント

鈴木愛選手

鈴木愛
首位・通算10アンダー(6バーディー・1ボギー)

「昨日と、ショットもパットも変わることなく、全体的にすごく良いリズムで出来ていたかなと思います。強いて言えば、最後(18番のバーディー)は決めたかったかな。久しぶりのボギーも、このコースだし、絶対一日ボギーやダボは来ると思っていたので、あまり気にすることなく、切り替えて出来ました。残り2日間も、あまりスコアや周りのことを考えずに、淡々とやるだけです」

渡邉彩香選手

渡邉彩香
3位タイ・通算6アンダー(1イーグル・5バーディー・2ボギー)

「後半に2ボギーがあったので、少し苦しい流れの中でしたが、前向きに、明日に向けてやっていたのが、最終18番のイーグルに繋がってくれたかなと思います。もう一回地元で勝ちたいな、というのを目標に、残り2日間頑張りたいと思います」

石井理緒選手

石井理緒
3位タイ・通算6アンダー(6バーディー・1ボギー・1ダブルボギー)

「このコースがもともと好きで、特にグリーンが好きですね。今日は割とフェアウェーを捕らえられていて、外したのは3回くらいです。まだ2日あるので、最終日に優勝争いが出来たら。楽しめる位置にいれたらいいかなと思います」

山下美夢有選手

山下美夢有
8位タイ・通算5アンダー(1イーグル・3バーディー・1ボギー)

「(1番でイーグル)出だしが良かったから、良い感じで回れると思いました。ショット自体は悪くなかったのですが、パターとアプローチがまだまだだなという感じです。そのあたりを修正して、明日はもう少し頑張りたい」

岩井千怜選手

岩井千怜
8位タイ・通算5アンダー(3バーディー・2ボギー)

「今日はなかなかピンポジションが難しくて、ピンを狙いたいけど、狙っていけないケースが多くて、自分の中でムズムズした感じのプレーでした。トップと5打差、まだまだだと思うので、明日は食らいついて最終日に向けて、いい位置で迎えられるようにしたいです」

ユン チェヨン選手

ユン チェヨン
118位・通算14オーバー(4ボギー・1ダブルボギー)

「この試合を楽しみたかったですけど、成績が伴わなくて恥ずかしい気持ちです(笑)。最終ホールが終わって、もう他の選手は誰もいないと思っていたんです。でも、選手たちが待ってくれていて、グッときました。(日本での)6年間ずっと応援してきてくれた方には感謝をしたいですし、優勝する瞬間を一緒に味わえれば良かったですけど、皆さんのおかげで今日まで至ったなという気持ちです」

(文・写真:伝昌夫、菅野雅裕)

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