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大会最終日レポート

大会最終日レポート

穴井詩がプレーオフを制し、ツアー通算4勝目を飾る!

穴井詩選手

穴井詩が通算9アンダーをマークし、ささきしょうことのプレーオフを制して、ヤマハレディースオープン葛城初制覇を果たし、2019年8月以来、約3年8カ月ぶりとなるツアー通算4勝目を飾った。

トップから3打差を追いかけてスタートした穴井は、上位選手がスコアメークに苦しむ中、持ち前の飛ばしを武器に、パー5のコースでは4ホール中3ホールでバーディーを奪取。トータル4バーディー・2ボギーの70でラウンドし、優勝の行方は、同じく通算9アンダーで並んだささきとのプレーオフ決着となった。

プレーオフ1ホール目は両者ともにパー。迎えた2ホール目、ともに2打目をグリーン手前のバンカーに入れたものの、両者とも3打目をチャンスにつけて、パッティング勝負に持ち込まれた。先に打ったささきがバーディーパットを外し、後から打った穴井が、見事に沈めて長い戦いに終止符。渾身のガッツポーズで、優勝の喜びを体中で表現して見せた。

最終日は東北東の風が5.5m/s。体感ではそれ以上の強い風が吹き、前日までとは打って変わって、厳しいコンディション。3日目に5位タイまでいた選手の中で、この日唯一アンダーでまわった穴井に、勝利の女神がほほ笑んだ。

3位には通算8アンダーで山下美夢有、4位には通算7アンダーで吉田優利が入り、アマチュアで唯一予選を通過した山下アミが、ベストアマを獲得。単独首位でスタートした鶴岡果恋は、5ボギー・1ダブルボギーとスコアを7つ落ちし、通算3アンダーの13位タイで涙を呑んだ。

穴井詩 勝てなかった4年間の努力が実を結んだ久々の美酒

穴井詩選手

春の女王決定戦、最終日。通算10アンダーで首位スタートの鶴岡果恋は、ノーシード選手。それだけに2試合連続のノーシード選手による優勝となるか、注目は一段と集まった。

大会舞台の葛城GCは、コース設計の名匠・井上誠一氏が手掛け、難攻不落がコースの代名詞。今大会は穏やかなコースコンディションが初日から3日間続き、「葛城らしさ」が鳴りを潜めていた。

しかし、最終日に大会舞台が本領を発揮した。天候は晴れ時々曇り。気温17.3度。風速5.5m/sの風が吹き、ピンフラッグはたなびき続ける。グリーンは一段と硬く、速くなり、バーディー奪取に送られるギャラリーの拍手が少ない。パーセーブしてガッツポーズを取る選手がいるほど、コースコンディションは厳しさを増したのだった。

注目の鶴岡はスタートホールでボギーを叩き、その後もバーディーを奪えずに後退。試合展開は大混戦にもつれ込む。最終組の選手が12番ホールを終了した時点で、通算8アンダーの穴井詩、石井理緒、山下美夢有、吉田優利、ささきしょうこの5選手が首位に並ぶ。

ホールを重ねるごとに“首位生き残りゲーム”が続く中、最終組の二組前、穴井が最終18番パー5ホールで大混戦から抜け出す、値千金のバーディーパットをねじ込んでガッツポーズ。通算9アンダーの単独首位に立った。最終組の前組の山下もバーディーチャンスを作ったものの、そのパットを決め切れない。そして最終組のささきしょうこが、バーディーパットをしっかり入れて穴井に追いつき、勝負の行方はプレーオフにもつれ込んだ。

穴井詩選手

この日、出場選手65人中、アンダーパースコアで回ったのは12選手。ベストスコア3アンダーが、どれほど難しいコンディションだったかを物語る。穴井が2アンダーで回ったのに対し、ささきはイーブンパー。このスコアがプレーオフでの穴井優利を示していたのかも知れない。

「パットのタッチがなかなか合わず、コースが難しいコンディションだったので、耐え忍ぶことに集中しました」と穴井。昨年の平均飛距離部門1位の飛ばし屋は、実はショットの方向安定性に苦しんでいた。このオフはショットコントロールを重点的に練習したという。猫背のアドレスを正し、力感を抑えてショットの方向性を優先させる。

「飛距離は15ヤードほど落ちましたが、その分フェアウエイキープ率は高まりました。大会3日目までフェアウエイを外したのは、1日に1回だけでした」。風が吹く中でもフェアウエイから2打目を打てることがパーオン率を高めた。「あとはパットの距離感が課題なんです」。

穴井詩選手

プレーオフ1ホール目は互いにパーセーブで分けた。同2ホール目、ささきが3打目をピン手前に着け、穴井は3打目のバンカーショットをささきのさらに内側に寄せた。佐々木のバーディートライは外れ、穴井の4打目のパットはカップに消え、それがウイニングパットになったのだった。本戦18番グリーンに続く、この日2度目の、渾身のガッツポーズ。2019年NEC軽井沢72ゴルフ以来、約4年ぶりのツアー通算4勝目を飾ったのだった。

「(勝てなかった4年間は)決して無駄な時間だったとは思いません。オフに練習して来たことが(優勝という)結果に結びついて本当に嬉しいです。夢だとまだ思うほどです。次の目標は年間複数回優勝したい、メジャー制覇もしたい、獲得賞金1億円を超えたいです」。久しぶりの勝利の美酒に酔ったかのように、穴井は尽きない欲望を次々と挙げた。優勝が自信を確信に昇華させたようだ。

大会最終日のコメント

ささきしょうこ選手

ささきしょうこ
2位・通算9アンダー(3バーディー・3ボギー)

「ナイスショットを打ってもグリーンに乗らなかったり、風に悩まされる一日でした。でも、みんな同じ状況だと、キャディーさんと話して、自分たちに言い聞かせてプレーしました。体調が悪くて、開幕前は試合ができる状況ではないと考えていたので、優勝争いができるなんて思ってもいませんでした。良い一週間で終われました」

山下美夢有選手

山下美夢有
3位・通算8アンダー(3バーディー・3ボギー)

「グリーンが硬く、風も昨日より強かったので、我慢の戦いになると思っていました。前半は耐えていましたが、ショットの安定性が悪く、、(後半)3つのボギーが出てしまった。気持ち的に問題もあったと思います。自分のミスなので、切り替えてまた来週から上位で戦えるように頑張りたい」

吉田優利選手

吉田優利
4位・通算7アンダー(1バーディー・3ボギー)

「ゴルフはそんなに悪くなかったのですが、バーディーが取れなかったのが一番の原因かなと思います。日を重ねるごとにコンディションが良くなって、難しくなってきた。こういうコースは好きなので、また来年以降、勝つチャンスがあればなと思います」

藤田さいき選手

藤田さいき
5位タイ・通算6アンダー(4バーディー・2ボギー)

「(今日のプレーは)4日目のこの状況だったら、100点に近いと思います、欲をかいたらダメなコースなので、安定してゴルフをしていました。この感じでゴルフが出来たら優勝できるのかなと思っているので、負けずに頑張ります」

石井理緒選手

石井理緒
5位タイ・通算6アンダー(3バーディー・4ボギー)

「いい感じでは回れていたんですけど、後半はもったいないボギーがありましたね。緊張はあまりせず、優勝も意識していなかったです。すごく楽しかったので、経験になりましたし、山下さんのプレーもすごく勉強になりました」

山内日菜子選手

山内日菜子
9位・通算5アンダー(2バーディー・1ボギー)

「今日はいいゴルフができたなと思っています。(2週連続Vのプレッシャーの中、トップ10は)めちゃくちゃ嬉しい。17、18番でボードを見て、トップ10に入っているとわかったんですけど、17も18も痺れるパットが入ってくれたので素直に嬉しいです」

鶴岡果恋選手

鶴岡果恋
13位タイ・通算3アンダー(5ボギー・1ダブルボギー)

「グリーンが日に日に硬くなっていって、初日と最終日のグリーンのギャップに全然対応出来なかった。もっとコースマネジメントと、グリーンに慣れること、技術をもっと上げていかないと勝てないんだなと感じた。悔しいですが、今の自分の実力なので、また近い試合でリベンジしたいと思います」

山下アミ(ベストアマ)選手

山下アミ(ベストアマ)
62位タイ・通算10オーバー(2バーディー・7ボギー)

「すごく緊張した中でのプレーで、楽しめましたけど、思うような結果が出ず悔しいです。プロの方たちのプレーを間近で見ることができて、考え方とか自分と違って、攻めと守りのメリハリがすごく勉強になりました」

(文・写真:伝昌夫、菅野雅裕)

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