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大会レポート

大会最終日レポート

韓国のイ ミニョンが、通算9アンダーで日本女子ツアー初優勝!
渡邉彩香は1打差2位に終わり、逆転Vならず

通算7アンダーの単独首位でスタートした韓国のイ ミニョンが、3バーディー、1ボギーの70をマーク。大会4日間すべてアンダーパースコアでプレーし、通算9アンダーで日本女子ツアー初優勝を飾った。

2年ぶり2度目の大会制覇を狙った地元、静岡県出身の渡邉彩香は、7バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの69と出入りの激しいゴルフで通算8アンダーの2位でフィニッシュ。3位には韓国の申ジエ、4位には13年大会覇者の比嘉真美子、5位には大会3日目に新コースレコード64をマークした韓国のアン ソンジュが入った。

ベストルーキー賞は通算2アンダーで6位タイの川岸史果が獲得。ベストアマチュアには勝みなみ(28位タイ)が輝いた。

韓国からの新星が誕生!イ ミニョン、スマイル絶やさずドキドキの18ホール

ショット前もショット後も、笑顔を絶やさない。ラウンド中、渋い顔をしたり、落胆した表情を見せたりすることもない。泰然自若。「飄々(ひょうひょう)」という言葉がピッタリの新星が勝った。日本のツアーに本格参戦してまだ1カ月にも関わらず、韓国のイ ミニョンが通算9アンダーで初優勝を飾ったのだ。

大会初日から71・70・68と着実にアンダーパースコアを出し、最終日は通算7アンダーの首位で最終組がスタート。難攻不落とされる舞台の葛城GCでの大会3日間、アンダーパーをマークしていたのはミニョンただ一人だけだった。

2位の渡邉彩香には2打差があった。地元静岡の渡邉の逆転Vを後押ししようと、大勢のギャラリーがコースへ詰めかけた。ミニョンにとってはまるで“アウェイ”状態。スタートホールで早くも渡邉が7.5メートルのバーディーパットをねじ込んでギャラリーを沸かせる。その差は1打に縮まった。

ミニョンは3番パー5でバーディーを奪い、2打差に戻したが、渡邉が続く4番でバーディーパットを決め、再び1打差とした。7番でミニョンがボギーを叩き、通算7アンダーで首位タイとなり、8番ではともにバーディー奪取。マッチプレーの様相を呈したものの、9番で渡邉がティーショットを右林へ大きく曲げてボギーを打ち、一歩後退。ミニョンは通算8アンダーの単独首位でサンデーバックナインを迎えた。

10番で渡邉が短いパーパットを外して、その差を2打としたが11、12番で連続バーディーを奪い、再び首位タイとなる。13番でミニョンが、15番で渡邉がそれぞれ1打伸ばし、通算9アンダーで迎えた平均ストローク4.4556の16番パー4。大会4日間を通して難易度1位のホールが勝負の分かれ目となった。

3オン1パットのパーセーブに成功したミニョンに対し、渡邉はティーショットをフェアウエイ左サイドの崖に打ち込み、3打目勝負に出た。

「ピンまで80ヤードをロフト58度のウェッジで打ちました。ラフながらライが良かったのでスピンが効くだろうと思ったのですが…」と渡邉は振り返る。そのショットは予想を遥かに超えるバックスピンが掛かり、グリーンキャッチ後、花道まで転がり戻ってしまったのだった。痛恨の4オン2パットで首位ミニョンに2打差を許し、最終18番パー5を迎える。

ミニョンは18歳でのプロ転向後、韓国女子ツアーで3勝を挙げ、今年から日本女子ツアーに本格参戦し始めた。2015年3月に腎臓がんを患い、部分切除手術をして復帰して韓国女子ツアーで1勝をマークしている。「同じ病に苦しんでいる人に、自分の活躍で勇気と希望を与えられたら」の思いを胸に秘めながらプレーを続けている。何よりも「ゴルフを再びプレーできる体に戻れたことに感謝している」のだ。だから、ミスをしてスコアを落としても怒ったり、腹を立てたりはしない。「優勝争いでドキドキしましたが、それを見破られないようにするのに必死でしたよ」と笑みを交えながら、ミニョンは最終日のプレーを振り返った。

18番で渡邉の3打目がカップインしなかった。ミニョンはピンに絡めた4打目のバーディーパットを外して1メートルオーバー。渡邉は執念のバーディーパットを沈めてガッツポーズを取った。ミニョンがパーパットを決めなければプレーオフとなるシーン。「手は緊張で震えました。でも、外してもプレーオフだから練習パットと思い込んで打ちました」。ど真ん中から沈め、両手を天高く突き上げて勝利の喜びを大ギャラリーに見せつけた。ミニョンVS渡邉の激闘に幕は下りた。

好奇心旺盛なミニョンは、ツアー転戦先の有名観光地へ行ったり、名物を食べに出掛けたりしている。「ゴルフはもちろんですが、旅行も美味しい物を食べるのも大好き。何でも新しいことに挑戦するのが好きだし、これからも生かされた人生を楽しんで行きたいんです」とミニョン。先週は両親を韓国から招き、親孝行もした。

両親のために喫茶店をオープンさせるのが目下の目標だという。親孝行娘が、その目標実現にため、さらに勝利数を重ねて行く。ミニョン・スマイルを携えて――。

大会最終日のコメント

渡邉彩香
2位・通算8アンダー(FR、69/7バーディー、2ボギー、1ダブルボギー)

「(16番のダブルボギーは)ボギーでおさめなくてはいけなかったですね。(前半から)チャンスもたくさんあったと思うので悔しいです。(最終18番バーディーは)入ったけど悔しい気持ちが込みあげて来ました。でもいいバーディーだったと思います。(ミニョンさんは)ほとんどミスがないし、より多くバーディーを取らないと、と思っていた。相手も伸ばしきれていなかっただけに残念。こうやって一つずつ勉強していけば、たくさん勝てるときが来るはず。それを信じてやるだけです」

申ジエ
3位・通算6アンダー(FR、70/4バーディー、2ボギー)

「久しぶりにいい勝負が出来たと思います。他の二人もすごくいいプレーで、私も楽しかったし、ギャラリーの方も楽しめたと思います。まだ体力が万全ではなかったので、後半がつらかった。来週も頑張ります」

比嘉真美子
4位・通算4アンダー(FR、69/4バーディー、1ボギー)

「(今日は)アイアンの調子が良かったので、ターゲットをピン寄りに取ることができました。今週は決めたい時に決めきれませんでしたね。(満足度は)半分くらい。パットが改善できれば、優勝も狙えるところに行けるんじゃないかと思います」

川岸史果 ベストルーキー賞
6位タイ・通算2アンダー(FR、69/3バーディー、ノーボギー)

「(今日は)グリーンを外した時も、危ないほうにいかなくて、アプローチも寄っていたのでボギーを打たずに済みました。これで獲得賞金が2000万円を超えたので、ひと段落です。シードをほぼ取れたと思うので、あとは優勝だけだと思っています」

勝みなみ ベストアマ
28位タイ・通算5オーバー(FR、72/2バーディー、2ボギー)

「(4日間)思うようなプレーができずに悔しかったです。それでも、予選通過できたし、目標は達成できたので良かった。(厳しいコンディションは)今後、ああいうこともいっぱいあるし、いま経験できてよかったと思う。今日は最後のほうはパーで回れましたし、粘り強さは出てきたのかなと思います」

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