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大会3日目レポート

大会3日目レポート

竹田麗央が通算10アンダーで単独首位に! 穴井、川岸が2打差で追う

前日とは打って変わって、好天に恵まれた土曜日は、54ホールに競技が短縮されたことにより、予選ラウンド2日目が行われ、最終日に駒を進めるための生き残りをかけた戦いは熾烈を極めた。

トップから1打差の2位タイからスタートした竹田麗央が、第1ラウンドに続き、この日のベストスコアとなる67をマーク。通算10アンダーまでスコアを伸ばし、後続に2打差をつけて単独首位に浮上した。

竹田麗央選手

通算8アンダーの2位タイには、穴井詩と川岸史果の二人。さらに2打差の単独4位に岩井千怜がつけ、通算5アンダーの5位タイグループには、第1ラウンドの首位からスコアを落とした小祝さくらをはじめ、桑木志帆、櫻井心那、山下美夢有、森田遥、鶴岡果恋、佐久間朱莉、野澤真央の8人が入っている。

通算2オーバーの51位タイ、計62名の選手が予選を通過して最終日へ。日曜日もお天気には恵まれる見通しで、多くのギャラリーの前で、勝利の女神がほほ笑むのはどの選手か―。

竹田麗央、ショートゲーム強化でスコアメイク力が向上!

竹田麗央選手

今季ツアーを4戦し、ベストテン入り3回(5位、5位タイ、6位)の竹田麗央が、通算10アンダーの単独首位に立ち、最終日を迎える。午前11時55分に最大瞬間風速14・2m/sを記録した第2ラウンドでは、7バーディー・2ボギーとこの日のベストスコアをマークし、第1ラウンド2位タイから首位の座に就いた。

インコース発進の竹田は11番・パー3で4メートルのバーディーパットを沈めたが、続く12番・パー4ではピン奥からの3パットでスコアを戻した。15番・パー5では、ピンまで残り100ヤードの3打目を1.5メートルにつけてバーディー。しかし、再び次ホールでボギーを叩いてしまったのだった。

それでも18番・パー5では、2打目をグリーンエッジまで運び、着実にバーディーを奪取する。「前半は風が強かったので我慢のゴルフに徹しました。帯同キャディーと話し合い、運ぶべき地点へボールを打つプレーをしていました」。

スコアを一つ伸ばしてのハーフターン後、持ち前の爆発力を発揮する。1番ホールから4番ホールまでバーディー奪取劇を演じ、一気に単独首位に駆け上がった。「風が強い中でのラウンドではスイングのリズムがどうしても早まりがちになるので、ゆったりリズムを心掛けました」と竹田は振り返る。

スコアカードを見たなら、いかにもスコアを落としそうにないプレーだったように思えるが、実はピンチは何度かあったのも事実。バーディー奪取後の次ホールでボギーを2度繰り返したことで、プレーの波に乗り損ねた観さえある。

17番・パー3では、右からの風を考慮して打ち出したティーショットを、イメージしたショットラインよりも右方向に打ち出してしまい、グリーン右手前のガードバンカーに打ち込んだのだ。ピンチ。2打目はカップまで距離30ヤードもあるバンカーショット。しかし、竹田は練習ラウンドでのショットのように簡単に打ち出しただけでなく、カップ50センチに寄せ切ったのだ。

竹田麗央選手

「ロフト54度のウエッジで打ちました。このオフは9番アイアン、ピッチングウエッジ、ロフト50度のウエッジ、短いクラブのショット練習に多くの時間を費やしました」。ショートゲームを強化したことでスコアメイク力もアップした。おそらく自身もその手応えを、試合を重ねるごとに感じているに違いない。

4試合連続のベストテン入りを濃厚にした竹田が、狙うは頂点。ツアー初優勝だ。「どんな状況でも目の前の一打に集中してプレーするだけです」。竹田の今季4度めの正直=優勝へ確実に近づいているのは間違いない。ニューヒロイン誕生を、最終18番グリーンのギャラリーたちが待ち望んでいる。

桑木志帆、ショット復調で優勝圏内へ食い込む

桑木志帆選手

スタートホールでのバーディー奪取で波に乗る選手もいれば、不安に襲われる選手もいる。この日、1イーグル・3バーディー・1ボギーの68でフィニッシュした桑木志帆は、前者だ。ドライバーショットは安定していたものの、アイアンショットの切れに精彩を欠いていたという。

しかし、前日の降雨によるコースコンディション不良で競技中止になったのが幸いし、練習場で納得行くまでショット修正ができた。アップライトのスイングがオーバードゥとなり、フラットなスイングに変えたが再び不振に陥り、アップライト軌道に戻した。100球は打った。ようやくイメージ通りのショットが打てるようになり、「昨日ラウンドしたかったほど」、ショットの復調を実感したそうだ。

翌日になっても、取り戻したアイアンの切れは錆びついていなかった。スタート10番ホールで2打目をカップ3メートルにピタリとつけ、バーディー発進に成功。12番・パー4をボギーとしたが、14番・パー4でのショット・イン・イーグルでスコアを伸ばした。

ピンまで95ヤードの第3打。ロフト52度のウエッジで振り抜いたボールはピン方向へ飛んだ。ピンに絡む期待を抱かせるインパクト感。ボールはピン筋に落下し、カップに吸い込まれるようにしてグリーン上から消えた。「入るなんて…」。嬉しい誤算だった。その後も安定したプレーぶりを展開し、後半9ホールでは3、5番ホールでバーディーパットを決めた。

ピンフラッグが揺れ続けるほどの強風が吹く中で、ボギーを一つしか叩かなかった理由は、アイアンの切れが戻っただけでなく、今季から愛用ボールを変えたことも奏功している。スピンタイプからディスタンスタイプに乗り換えたことで、バックスピン量が適正となり、飛距離は20ヤード近くもアップ。ショットの曲がり幅が狭まり、風の中でのプレーではボールがふけ上がらなくなったことを桑木は素直に喜んでいる。

優勝圏内に食い込んで最終日を迎える桑木。「久々の好位置なので、楽しんで回りたいです」。新ボール効果でツアー初Vとなるか、新ボールをウイニングボールにすることができるか―。

川岸史果、震災に見舞われた父の故郷へ元気を届ける

川岸史果選手

午後スタート組の川岸史果が、安定したプレーぶりでラウンドし、5バーディー・1ボギーの68でフィニッシュ。4位タイから2位タイに浮上し、首位との差を2打として最終日は最終組でプレーする。優勝をあえて意識したかったのには理由がある。

父親の川岸良兼の実家は石川県小松市であり、今年1月の能登半島地震に見舞われた。大きな痛手は無かったそうだが、被災地では未だ不自由な生活を強いられている人々が多い。父親が発起人となり、2月に千葉県のゴルフ場で復興支援チャリティプロアマゴルフ会が開かれ、川岸も参加したという。

「小松市でも道が崩れていたり、瓦が散乱したり光景を見ました。何としてでも復興して欲しい…私が活躍して現地に元気を届けたい。テレビや映像に(活躍ぶりが)少しでも映し出されたなら元気が出ると思うんです」と川岸。

今日のゴルフはドライバーからアイアンショット、パットまですべてが安定していたという。「セカンドショット(パーオンショット)のジャッジが冴えていました。今日は風が強く、アンダーパースコアを出せたならと思っていましたが、後半からは風が弱まり、課題だったアイアンショットの修正もうまくできていました」。

手応えがある。明確な目標もある。「4日間大会で優勝したい」。被災地のみなさんに朗報と元気を届けるしかない。

大ギャラリーを引き連れた実力者3人が、最終日の逆転Vを目論む

穴井詩選手

予選ラウンド2日間、多くのギャラリーを引き連れたのは、実力者三人、穴井詩、小祝さくら、山下美夢有のペアリング。初日は小祝さくらが単独首位に立ったが、中止を挟んだ土曜日、明暗が分かれる格好となった。

安定したプレーを見せているのは、ディフェンディングチャンピオンの穴井。この日は6バーディー・3ボギーの69で、スコアを3つ伸ばし、トップとの差は2打差に広がったが、2位タイをキープ。昨年も逆転での優勝だっただけに「(追いかける状況)のほうがいいですね、気持ち的には」と吉兆だ。

小祝さくら選手

最終日は竹田麗央、川岸史果との最終組。全員が飛ばし屋ということで「見ていると楽しいし、やりやすいと思います。(連覇のチャンスに)わくわくですね。精一杯頑張りたいです」と意欲十分だ。

対して、単独首位からスタートの小祝は、3バーディー、4ボギーで1つスコアを落とし、通算5アンダーの5位タイに転落。トップからは5打差で最終日を迎える。この日は3パットが2回あるなど、グリーン上で苦戦。ショットも本人的には納得いかなかった様子だ。

「攻めていきたいですが、このコースは攻めれば良いという問題でもないので、しっかりと自分のベストプレーができるように心掛けていきたい」と、最終日の逆襲を目論む。

山下美夢有選手

賞金女王の山下も、予選ラウンドは安定したプレーで通算5アンダーの5位タイ。ビッグスコアを叩き出せる実力者だけに、一気のマクリも無きにしも非ず。ツアー未勝利の竹田を、実力者が虎視眈々と追いかける。

(文・写真:伝昌夫、菅野雅裕)

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