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大会最終日レポート

大会最終日レポート

小祝さくらが5打差を逆転し、本大会初制覇、ツアー通算10勝目を飾る!

小祝さくら選手

今年のヤマハレディースオープン葛城は、最終日に小祝さくらが、6バーディー・1ボギーの67をマークして、通算10アンダーとして逆転優勝。本大会初勝利、ツアー通算10勝目を飾った。本大会は、2018年に5位タイ、2021年に4位タイの成績を残しているが、昨年は予選落ちを喫するなど、本人曰く、あまり得意としてはいなかった大会だが、今年、悲願の初優勝を果たした。

第2ラウンドで単独トップに立った竹田麗央は、3バーディー・4ボギーとスコアを一つ落とし、通算9アンダーの2位タイに終わり、ツアー初勝利まで、あと1打及ばず涙をのんだ。同じく通算9アンダーの2位タイに岩井千怜が入り、通算8アンダーの4位タイには河本結、野澤真央、桑木志帆の3人。連覇を狙った穴井詩は、通算5アンダーの15位タイに終わった。

ベストアマは、予選を通過した2選手のうち、成績が上位だった山下アミが受賞。ベストルーキー賞は宋ガウンが獲得、また11番パー3で、鈴木愛がホールインワンを達成し、賞金300万円を獲得した。

小祝さくら、経験に裏打ちされたクレバーなゴルフで見事な逆転V

小祝さくら選手

小祝さくらが5打差を大逆転してツアー通算10勝目を達成した。

難攻不落の葛城ゴルフ倶楽部が舞台だけに、選手たちはバーディー奪取よりもパーセーブのプレーに自ずと徹する。時にはパーパットをねじ込んでガッツポーズを獲るシーンさえ見るほどだ。

第1ラウンドで6バーディー・ノーボギーの完璧に近いプレーを繰り広げ、単独首位に立った小祝。しかし、第2ラウンドでは大会期間中で最も強い風が吹き続けたこともあってか、小祝は3バーディー・4ボギーと失速し、首位の座から陥落して5位タイに後退した。首位の竹田麗央とは5打差もついたのだった。

「3パットを2回もしてしまいましたし、ショットも良くは無くて、すべてが微妙でした」。迎えた最終日。「このコースで7アンダーをマークするのはやさしくはない。5アンダーを目標にしよう」と自分に言い聞かせてスタートティーに上がった。その一方で、「難しいコースだけど我慢していれば、きっと必ずいいこと(ご褒美)があるのもこのコース」という過去の経験をゲームプランに加えたのだった。

4番までパーセーブを続け、5番・パー5でこの日最初のバーディーを奪うと、次ホールでもバーディー奪取に成功し、スコアを二つ伸ばす。首位を走る竹田のスコアは動いていない。その差は3打差に縮んだ。堅実なプレーを演じていた竹田だったが8、9番ホールでボギーを打ち、優勝争いは混戦状態となる。

13番を迎えた小祝は、首位争いに加わっていることを速報版で知った。バーディーを取ったなら優位に試合を進められる。その思いが空回りし、痛恨のボギーを叩く。

小祝さくら選手

「ボギーだけにはしたくありませんでした。それなのに…。自ら厳しい状況にしてしまうなんて」。一旦は気持ちが落ち込んだが、スコアを落としたことで「気合いを入れ直そう!」と、気持ちをリセットする。これがツアー通算9勝の実績なのだろう。決して諦めなかった。諦めたら試合はその時点で終わる。最終グリーンのカップにボールが沈むまで試合は終わってはいない。そんなゴルフ格言もあるほど、勝負事は最後の最後まで何が起こるのか分からない。

小祝は14番でバーディーパットをねじ込んで逆転優勝への狼煙を上げる。15番・パー5、16番・パー4でもバーディーを奪取し、2位に1打差をつけての単独首位に立ったのだった。久しぶりに見る頂点の景色。17番をパーとして最終18番・パー5のティーに立つ。2打目は残り225ヤード。3番ウッドでグリーン右手前まで運び、3打目のアプローチショットでカップに確実に寄せてバーディーフィニッシュ。この時点で2位に2打差をつけ、後続組のホールアウトを待ったのだった。

通算10アンダーのクラブハウスリーダー。最終組の竹田の3打目がカップインしなかったことで小祝のツアー通算10勝目が確定した。

小祝さくら選手

「(V10は)嬉しいですが、まだ実感はありません。やっと今週も終わったという思いが強いですね。難しいコースに加えて、風が吹いたり、花粉が舞ったりで頭が痛い(一週間だった)」と苦笑い。

ツアー序盤戦で今季1勝目を飾り、「年間女王タイトルを狙う?」というメディアからの問いに対して小祝は「以前、早めに狙うと口にして(結果が)良くなかったので、これからも自分の課題クリアに向け、集中して頑張って行くだけです」と冷静に応えた。小祝はプレーでも発言でも経験則をしっかり生かす選手であることを証明する一戦に昇華させたのだった。

山下アミ、2年連続でベストアマを獲得…来年はプロとなって出場を目指す

厚き壁「マンデートーナメント」を突破し、本戦出場資格を手にしたのがアマチュアの山下アミ(19歳)。難攻不落といわれる葛城ゴルフ倶楽部で予選通過も果たし、2年連続のベストアマチュアの座に就いた。

通算1オーバーながら36位タイで予選を突破した山下だったが、期待よりも不安を抱えてのラウンドが続いていたという。「パターをマレットタイプからピンタイプのヘッドに変えたのですが、ヘッド重量が軽くなったことでイメージとタッチがまったく合わなくなってしまいました」。

高速グリーンで強めのインパクトはアダとなる。それを想定してのパター変更が、逆効果と化した。「距離感がつかめず、パーオンショットをチャンスに着けられずのプレーが続いてしまいました」と山下は悔しがる。

山下アミ選手

最終日はスタートホールから2連続ボギーとつまずき、前半は1バーディー・4ボギーに終わる。しかし、サンデーバックナインに入ってからはボギーフリーのプレーを演じ、1バーディーの36にまとめたのだった。通算3オーバー・53位タイでのベストアマ獲得だ。

「こんなに難しいコースとコンディションで、しかもピンが振られた最終日でも2オーバーと耐えられたこと、2年連続のベストアマを手にできたことが自信になります」。

山下は8月に自身3度目のプロテストが控えている。「こんなに難しいコースで耐えるゴルフができたのは大きいです。大会で得た自信と経験を生かし、プロテストに行きます!」。そして「来年はプロゴルファーとして出場できるように頑張ります」と山下は力強く誓ったのだった。

大会最終日のコメント

竹田麗央
単独首位スタートも逆転を許し2位タイ

竹田麗央選手

「悔しかったです。今回は自信もありましたし、やれると思っていたので。前半最初の方にバーディーが獲れなかったので、バーディーが獲れていたらもっと違ったのかなと」

鈴木愛
11番パー3でホールインワン(同一大会で3度のホールインワンは史上初)

鈴木愛選手

「(日差しが)結構眩しかったので、(入ったところは)全然見えなかったです。歓声で分かりました。本当に順位も順位だったので、ちょっとでもポイントを稼ぎたかった。良いお小遣いになったと思って、また来週から頑張りたいです」

(文・写真:伝昌夫、菅野雅裕)

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