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山下美夢有選手 インタビュー

昨年大会でのことだった。通算9アンダーで首位タイに立った山下美夢有は、自身初の最終組でスタートした。ツアー初優勝のプレッシャーを体中で感じていた。それでも優勝争いに踏み留まり続けた。17番パー3ホールで痛恨のボギーを打ち、首位の座を稲見萌寧に明け渡してしまう。最終18番パー5ホール。距離7メートルのバーディーパット。入れればプレーオフに突入できる。その思いを込めたパットはカップをすり抜け、初優勝もすり抜けたのだった。

「単独2位の成績は、自己最高成績です。まだまだ課題がたくさんあります。これで終わりではありませんし、またトップを目指します」。敗者の弁を語っている最中も決して涙は流さず、終始、笑顔だった。

当時、ノーシードで参戦していた山下にとって、初優勝を逃した悔しさよりも、2位の成績を残せた手応えによって、自然に笑みがこぼれていたのかも知れない。その敗戦から2試合後の「KKT杯バンテリンレディス」で山下は念願のツアー初優勝を飾っている。

初優勝を逸した思い入れある大会に、“通算1勝”の手土産を持って山下は戻って来た。「(昨年大会)最終日のあの緊張感と、プレッシャーしかなく、余裕がまったくなかったことが忘れられません。それ以上に感じたことは、初優勝した試合を含めてまだ一度ないくらいですから」。

山下は白い歯を見せた。勝った試合よりも負けた試合で学ぶことは多い。勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。山下はアイアンショットの縦距離の打ち分けに磨きを掛けて来た。ピンを果敢に攻めたショットが、左右にブレなくてもショートしたりオーバーしたりしたなら、パーセーブどころかボギーで上がれる確率が低くなってしまう。

「特に葛城ゴルフ倶楽部は(砲台グリーンのため)オーバーしたら寄せもパットも難しくなります。自分のゴルフをして、(ショット練習成果を生かして)まずは予選通過し、順位を上げて行きたいです」。

前週の大会の最終日、山下は最終ホールでのショットをベタピンに着けてバーディーフィニッシュし、単独2位の成績を残した。縦距離をピッタリ合わせての会心の一打。成長した山下が、一年前のリベンジを密かに狙っている。

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